この事例の依頼主
男性
相談前の状況
「父の相続に際し、他の相続人が依頼した税理士が、父の遺産が実際よりも少ないことを前提とした遺産分割協議書を作成し署名を求めてきた。」とのご相談。税理士は過去の相続の際の遺産分割協議書に誤りがあったと説明していました。
解決への流れ
★正しい事実関係にもとづいて協議で全員の合意を得ることに成功!★→まず、権利関係を調査して真実を明らかにし、他の相続人に対し過去の相続を前提とした本来の遺産について説明して、再度、遺産分割協議の合意を得ました。その上で税理士に修正申告をするように要求しましたが、応じませんでした。そのため、当職が相続人全員から委任を受け、修正申告までを行いました。
税理士は税務申告の専門家ですが、必ずしも法律や契約の解釈能力に長けているわけではなく、申告の際に前提となる法律関係について誤った解釈をしたまま処理をする可能性があります。特に、一部の相続人のみから事実の聞き取りをした場合にはそのようなことが起こりがちです。そもそも、税理士は遺産分割協議に実質的に介入してはならないこととなっているため、相続人間での十分な意見調整のないまま申告をするケースも見られます。後日、前提となる法律関係について解釈が誤っていたことが判明した場合には、加算税等のペナルティを課される危険性があり、注意が必要です。前提となる法律関係について相続人間に意見の相違や争いがある場合には、弁護士と税理士とが共同して事件処理にあたることが望ましいといえます。