犯罪・刑事事件の解決事例
#別居 . #離婚回避 . #生活費を入れない

別居中の夫に対する多額の婚姻費用分担請求

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若林 辰繁 弁護士が解決
所属事務所新埼玉法律事務所
所在地埼玉県 さいたま市浦和区

この事例の依頼主

50代 女性

相談前の状況

ご依頼者は、成人した大学生の長女と高校生の長男と3人で暮らしていましたが、別居中の夫から毎月支払われていた40万円余の婚姻費用が支払われなくなったとしてご相談に見えました。夫は算定表の上限である2000万円をはるかに超える年収がありました。

解決への流れ

家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立て、まず、相手方との間で、とりあえず結論が決まるまで従前と同様の40万円余の支払を続けるとの暫定合意ができました。調停委員は、「40万円余の支払を受けることができれば十分ではないか」という態度です。確かに算定表の上限を超える年収がある場合、公刊されている裁判例や文献によれば、あまり多額のものは認められない例や考え方が多いこともわかっていました。そこで、算定表適用の前提となる特殊事情をなるべく多く具体的に主張立証し、相手方の反論や反証を潰す作業をしましたが、審理期間は1年半以上に及びました。その結果、一審の家裁では離婚するまで毎月約57万円を支払えとの審判が出されました。代理人としては、審判の結論だけではなく理由にも納得できない部分があったため、高裁に即時抗告をして、抗告理由を工夫して提出しました。その結果、「離婚するまで毎月73万円の婚姻費用を支払え」との高裁の決定(他に条件や期限はなし)を得ることができました。

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若林 辰繁 弁護士からのコメント

算定表の収入の上限を超える収入がある場合には、あまり多くの上乗せは期待できないことが多くの裁判例や文献に表われています。婚姻費用や養育費は、通常は、収入額、必要な費用額その他客観的な数字や資料を前提に算定されるのが通常です。しかし、私は、ご依頼者のお気持ちを前提に、相手方が妻子に対し、いかに不誠実な言動を続けているか、「婚費を支払わない」という態度もその不誠実さの一環であることを、具体的に繰り返し主張立証し続けました。今回の高裁の決定中には、相手方の不誠実な言動等の認定が多く含まれており、結論として認められた金額にはそのことが多少なりとも影響していると感じられます。比較的多くのケースを経験している私にとっても、初めて見る多額の結論です。