犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

特別受益を指摘して遺産分割を公正に進めた事例

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大澤 潤也 弁護士が解決
所属事務所佐野総合法律事務所 船橋駅前オフィス
所在地千葉県 船橋市

この事例の依頼主

男性

相談前の状況

突然父が他界して、兄と私が相続人になりました。父は兄と同居しており、兄が父の面倒を見ていました。兄は、詳しくはわかりませんが、専門家に相談しているようで、相続の話をどんどん進めようとしていました。ですが、私は父の遺産がどうなっているのかもわからず、このまま兄の言うとおりにしてよいものなのか不安がありました。そこで、弁護士に相談することにしました。

解決への流れ

まずは遺産の全体像を把握するよう助言され、私がわかる限りですが、銀行等で資料を集めました。同時に、兄に対しては遺産の内容と状況を説明するよう求めました。兄から開示された内容は、私が思っていたよりも遺産の量が少ないもので、私としては疑問に思いました。そこで、兄からの情報も踏まえて銀行口座等の履歴を確認したところ、過去に父名義の口座から数十万円、数百万円のお金が複数回にわたって引き出されていることがわかりました。父の世話をしていたのは兄ですから、兄に説明を求めましたが埒があかず、正式に弁護士に依頼して「遺産分割調停」を行い、裁判所で争うことにしました。遺産分割調停では、父の口座の不信なお金の出入りを細かく指摘して説明を求めました。そして、裏付けがないものや合理的な説明がないものは、兄が受け取ったものだと主張しました。もちろん、父も生きている限り生活のためにお金を使うことは当然のことです。しかし、年老いた父が、一時に百万円単位のお金をおろすとは考えられませんし、それを何度も行っているのは不自然だと思いました。結果として、一千万円単位のお金が使途不明金となり、兄が受け取ったものであることを前提に調停を成立させることになりました。兄に言われるがまま相続を進めていれば、兄に一方的に有利な内容にされていたと思いますので、最初は兄弟で争うということへの抵抗もありましたが、結果としてチャレンジしてみてよかったと思います。

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大澤 潤也 弁護士からのコメント

家族内での紛争に抵抗を感じる方も多くいらっしゃいます。もちろん、最終的にどうされるかはご家族ごとの関係性や遺産の状況によっても異なってきます。しかし、本件のように、ある特定の人物にとって有利・不利な事柄が隠されている可能性もございます。相続人のうちの一部の方が率先して相続の手続きを進めようとしている場合、他の相続人にとって本当に公正なものかどうか、一度立ち止まって考えることが重要です。もちろん、真摯に相続を進めようとしている方も多くいらっしゃいます。しかし、相続には多くの法的問題が絡むところであり、一般的に見て正しく思えても、弁護士の目から見れば疑問を呈さざるを得ない場面もございます。本件のご依頼者様も、ご自身が抱いた不安感をきっかけにご相談いただき、遺産分割調停を通じて隠された事実を掘り起こすことができました。