この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
【事案】大手保険会社の大分支社で、別の支社から転勤してきた支社長に人格を否定されるような酷い叱責を繰り返し受けて(依頼者によれば、叱責を受けた後は体の震えが止まらず車の運転ができなくなるほどの叱責だったそうです。)うつ病となった相談者が、労災申請を行うのを支援し、また、社内のコンプライアンス部門にパワハラの事実を訴えて改善を求めた。
解決への流れ
【相談と対応】依頼者によれば、新支社長のパワハラで依頼者以外にも4人が体調を崩し、内2人は退職しているとのことでした。ただ、問題は、パワハラの証拠が依頼者の話や診断書以外になく、例えば酷い叱責の様子を録音するなどはしていなかったという点でした。そこで、労災申請に当たっては、通常は数行で終わる「災害の原因及び発生状況」欄を別紙の形にして、私が細かく聞き取りをしてA4で14枚もの分量で詳細に説明し、並行して、支社長のパワハラで退職して当時別の金融機関に転職していた元社員の方とも連絡を取って、労基署の聞き取りに応じてもいいという約束を取り付けるなどしました。結果的に労災が認められただけでなく、支社長は転勤となり、相談者の方も、体調を戻して無事元の職場に復帰できました。
本件では、パワハラされた人が職場復帰できたと書きましたが、これは正直非常にレアなケースです。普通は居辛くなって退職してしまいます。この事案では、本社のコンプライアンス部門がきちんと対応したというのが非常に大きかったと思います。日本を代表する大手保険会社だけに、さすがに本社はちゃんとしているなと感心した事案でもありました。同時に、支社長からすると、パワハラしてでも成績を上げたいというすごいプレッシャーの下で働いているのだろうな、と少し同情もしました。もちろん今の時代パワハラで部下を壊してでも出世するなどというのは到底許されることではありませんが、その支社長さんからすれば、自分も同じような苦労を潜り抜けてきたのだ、これくらい何だ、という思いだったのかもしれません。