この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
Aさんは,交通事故により受傷しましたが,相手方保険会社は,過失割合に争いがあること等を理由に治療費の一括支払対応を拒絶しました。Aさんは,ご自身が加入する任意保険の人身傷害保険を使用して通院を行い,治療終了後,訴訟を提起し,人身傷害保険金では賄えなかった損害について相手方に対し賠償請求を行いました。
解決への流れ
訴訟では,相手方は,事故態様が軽微であることを理由にAさんの受傷自体を争いましたが,受傷するに至った事故状況について主張立証を尽くした結果,Aさんが事故により受傷したことを前提とする裁判所和解案が提示されました。ただ,裁判所和解案では,Aさんが人身傷害保険金を受領している点について,通常の実務的な扱いとは異なる計算方法を採用していたため,そのままではAさんが受けることができるはずの適正な賠償が受けられない内容になっていました。この点に関し意見を述べた結果,適正な賠償が受けられる内容で訴訟上の和解が成立しました。
過失割合に争いがあったり,事故態様が軽微である場合には,相手方保険会社が治療費の支払いを拒絶することがあり,この場合には,ご自身が加入する任意保険の人身傷害保険を使用することがあります。このようにして人身傷害保険金を受領した場合に,相手方に対しどのような請求を行うことができるかは,専門的かつ複雑な問題です。本件では,裁判所和解案でも,この点に関し通常の実務的な取り扱いとは異なる(あえて言えば「間違った」)計算方法が採用されており,これを見過ごせば,Aさんが受けるべき適正な賠償が受けられなくなるところでした。