10917.jpg
不倫した夫から「慰謝料」をゲットした! 「税金」を払わないといけないの?
2014年08月17日 12時47分

「離婚の時に払われる慰謝料には税金がかからないのでしょうか?」。インターネットのQ&Aサイトに、こんな素朴な疑問が書き込まれていた。パートナーに浮気されて慰謝料をもらう場合、国に税金をとられるのは、どこか釈然としないということかもしれない。

離婚すると、慰謝料や財産分与などの名目で金銭が支払われることがあるが、それらに贈与税などの税金はかかるのだろうか。また、金銭でなく不動産などで受け取った場合はどうなのだろうか。

たとえば、ある女性は、夫が会社の部下と不倫したのをきっかけに離婚することになり、「離婚の示談金と不倫の慰謝料」を合わせて280万円を受け取った。さらに、財産分与として持ち家を引き取り、養育費として毎月8万円を払ってもらうことになったという。この場合、税金はどうなるのか。中野克美税理士に聞いた。

「離婚の時に払われる慰謝料には税金がかからないのでしょうか?」。インターネットのQ&Aサイトに、こんな素朴な疑問が書き込まれていた。パートナーに浮気されて慰謝料をもらう場合、国に税金をとられるのは、どこか釈然としないということかもしれない。

離婚すると、慰謝料や財産分与などの名目で金銭が支払われることがあるが、それらに贈与税などの税金はかかるのだろうか。また、金銭でなく不動産などで受け取った場合はどうなのだろうか。

たとえば、ある女性は、夫が会社の部下と不倫したのをきっかけに離婚することになり、「離婚の示談金と不倫の慰謝料」を合わせて280万円を受け取った。さらに、財産分与として持ち家を引き取り、養育費として毎月8万円を払ってもらうことになったという。この場合、税金はどうなるのか。中野克美税理士に聞いた。

●示談金や慰謝料には課税されない

「まずは、離婚の示談金と不倫の慰謝料を受け取った場合について考えてみましょう。

所得税法の施行令に『心身に加えられた損害につき支払いを受ける慰謝料』については非課税にするという規定があります。示談金も同様に非課税となります。

ですので、離婚の示談金と不倫の慰謝料を合わせて280万円を受け取ったケースでは、税金はかかりません。

ただし、これらの示談金や慰謝料は、『心身または資産に加えられた損害に基因して支払いを受けるもの』(所得税法施行令)でなければ、非課税になりません」

どういった意味だろうか。

「たとえば、支払い名目は慰謝料であっても、その実体が財産分与、生活費、養育費である場合には、実体を見極めたうえで、非課税かどうか判断されます」

名目ではなく、実質として、示談金や慰謝料といえるのかどうかが重要なようだ。

●金銭と不動産で扱いが違う「財産分与」

では、持ち家を財産分与した場合は、どうなるのだろうか。

「離婚に伴う財産分与は、夫婦の財産の清算や、離婚後の生活保障のために給付されるものです。

財産分与をした財産の額が明らかに大きすぎるなどの例外を除いて、財産を取得することは、贈与とはみなされません」

では、持ち家の財産分与も非課税なのだろうか。

「いいえ、財産分与が金銭ではなく不動産である場合は、財産を譲渡したこととなり、譲渡所得の課税対象となります。

離婚により持ち家を財産分与したケースでは、財産分与をした側(夫)に所得税が課税されます」

財産分与が不動産の場合は注意が必要だ。

●養育費は「非課税」なのが原則

では、養育費についてはどうだろうか。

「相続税法では、『扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの』については、贈与税の課税価格対象としないと定めています。

養育費は子どもの『扶養義務』に基づくものですから、『通常必要と認められるもの』であれば、贈与税はかかりません。

ですから、養育費を毎月8万円受け取ったケースでは、税金はかかりません」

法律で定められた「通常必要と認められるもの」とは、どういった意味だろうか。

「生活費や教育費(学費や教材費、文具費)として、必要に応じて取得した財産のことです。

ですので、将来の分まで一括して受け取って、銀行に預金するような場合は、『通常必要と認められるもの』に該当しないと判断されることがあります」

状況に応じて、税金がかかるかどうかは変わってくるようだ。離婚して養育費をもらう場合は、注意したほうがいいだろう。

【取材協力税理士】

中野 克美(なかの・かつみ)税理士

大学卒業後税理士業界に勤務。税理士登録後は80人規模の税理士法人のパートナーに就任し、責任者として支店の新規出店、税理士事務所との合併、会社設立サポート、会社設立直後の社長に対する資金調達サポート、経理合理化などの業務に携わる。税理士事務所開業後は、「起業家の勇気ある挑戦を成功に導くこと」を志命に、資金調達や経理合理化などスタートアップの支援に日々取り組んでいる。

事務所名  税理士事務所パピィプロジェクト

事務所URL:http://pappy-zeirishi.com/

(税理士ドットコムトピックス)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る