山梨県弁護士会は8月8日、物価高騰により生活保護世帯の食事・衛生環境が悪化している現状を受け、県に対してより一層の生活支援対策を求める会長声明を発表した。
県が2月に実施した実態調査で、冷暖房の使用制限や食事回数の減少などが明らかになったことを踏まえ、猛暑期の光熱費軽減を含む緊急支援を要請している。
背景には、山梨県が2月に実施した生活保護世帯69世帯を対象とした実態調査がある。調査結果では、1日2回以上食事をしていない世帯が14%(2022年調査から8ポイント増)、冷暖房を使用しないことがあった世帯が20%(同12ポイント増)など、2022年の全国調査と比較して生活状況の悪化が顕著に表れた。
また「入浴(シャワー含む)の頻度」を問う設問では、「毎日」と回答した世帯は22%(同27ポイント減)と激減し、「1週間に1回」と回答した世帯が29%(同21ポイント増)と倍増した。
●「盛夏時の光熱費の軽減を含む、より一層の生活支援を実行」を要求
声明では、「物価高騰の影響等により生活保護世帯の食事・衛生・健康環境が悪化していることが浮き彫りとなった」と指摘。「生活保護世帯及び生活困窮世帯においては、エアコンの使用控えや食費の不足による健康被害が生じるおそれがある」と警鐘を鳴らした。
県は既に生活困窮世帯の小中高生への夏休み期間中の食料支援実施を決定し、食糧支援コーディネーターの配置やひとり親家庭への就労支援を開始している。山梨県弁護士会は「今回の県の迅速な支援は高く評価されるべきである」としながらも、「住民税非課税世帯の大多数を占める高齢者世帯への支援や、高騰する光熱費の直接的な支援などは含まれていない」と指摘した。
声明では、内閣府の重点支援地方交付金(山梨県の交付限度額6億円)を活用し、「生活保護世帯・生活困窮世帯の方が命の危険にさらされることがないように、より一層の生活支援対策をとることを求める」としている。