7330.jpg
会社指示でパソコン購入した社員「自分に家電量販店のポイントがついた」 業務上横領罪になるのか
2024年09月01日 10時03分
#業務上横領罪 #ポイントカード #備品購入 #業務上ポイント横領

会社員が仕事で使う備品を購入する場合、会社の法人用クレジットカードで支払ったり、あるいは自分で立て替えたあとに清算することがあります。

会社からパソコンの購入を頼まれたという社員から「私がパソコンを購入した時、その家電量販店のポイントが私につきました。これって業務上横領罪になりますか?」という相談が、弁護士ドットコムニュースに寄せられました。

商品を購入する店やECサービスによっては、特定の「ポイント」がつくことがあります。

たとえば、10%のポイントが加算される店の場合、10万円のパソコンを買ったら、1万円がポイントとして戻ってきます。1万円もあれば、他にそれなりの家電製品が買えてしまうでしょう。

ここまで高額でなくても、ペンやノートのような備品を買って、ごくわずかのポイントを得るようなケースは、多くの人が経験しているのではないでしょうか。そして、ほとんどの会社では、目くじらを立てられるようなことはないと思われます。

会社のお金で購入して得たポイントを自分で使ってしまえば、業務上横領罪などの罪に問われる可能性はあるのでしょうか。刑事事件にくわしい元検事の大泉まどか弁護士に聞きました。

会社員が仕事で使う備品を購入する場合、会社の法人用クレジットカードで支払ったり、あるいは自分で立て替えたあとに清算することがあります。

会社からパソコンの購入を頼まれたという社員から「私がパソコンを購入した時、その家電量販店のポイントが私につきました。これって業務上横領罪になりますか?」という相談が、弁護士ドットコムニュースに寄せられました。

商品を購入する店やECサービスによっては、特定の「ポイント」がつくことがあります。

たとえば、10%のポイントが加算される店の場合、10万円のパソコンを買ったら、1万円がポイントとして戻ってきます。1万円もあれば、他にそれなりの家電製品が買えてしまうでしょう。

ここまで高額でなくても、ペンやノートのような備品を買って、ごくわずかのポイントを得るようなケースは、多くの人が経験しているのではないでしょうか。そして、ほとんどの会社では、目くじらを立てられるようなことはないと思われます。

会社のお金で購入して得たポイントを自分で使ってしまえば、業務上横領罪などの罪に問われる可能性はあるのでしょうか。刑事事件にくわしい元検事の大泉まどか弁護士に聞きました。

●業務上横領罪に当たる可能性はある

——会社の指示でパソコンを購入して、家電量販店のポイントが自分についたケースで、そのポイントを私用で使った場合、罪に問われる可能性はあるでしょうか

結論から言うと、業務上横領罪に問われる可能性はあります。法定刑は10年以下の懲役です。

業務上横領とは、「業務上自己が占有する他人の物を横領すること」をいいます。

わかりやすい例としては、仕事で(=業務上)自分が会社のお金を管理している場合に(=自己が占有する他人の物)、そのお金を使い込んでしまう(=横領)というケースです。

ここでの「他人の物」については、お金に限りませんので、ポイントであっても、「他人のポイント」といえるのであれば、横領の対象となります。

——では、他人のポイントといえる場合というのは?

たとえば、会社の就業規則などで、「会社の備品購入の際に付与されたポイントは会社に帰属する」といった規定がある場合は、たとえ自分のポイントカードについたポイントであっても、会社のものということになります。

この場合に、そのポイントを勝手に使ってしまうと、会社のものと決まっているポイントを勝手に使用したということになりますので、業務上横領罪に問われる可能性があります。

また、自分の作ったポイントカードではなく、会社が作ったポイントカードであれば、付与されたポイントは、そもそも会社のものということになるので、ポイントを勝手に使ってしまうと、業務上横領罪に問われえます。

——その他に注意すべきことはありますか

ここまでは法的な観点から「会社の備品購入の際に付与されたポイントを使用する」という行為について検討しました。しかし、業務上横領罪に該当しない場合であっても、それが必ずしも「正当な行為」ということではありません。 

社内では、そのような行為を問題と捉えることもあるでしょうし、金額や頻度によっては、意図的な行為として、会社から何らかの処分が下される可能性は十分にあります。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る