9118.jpg
服やメークで「涼やかな印象を」 色まで指示する「女性版クールビズ」に従うべき?
2013年06月28日 10時45分

環境省が推進する「スーパークールビズ」が6月から始まった。今年の特徴は「女性のクールビズ」を初めて提案したところだ。しかし、この「女性版」、あまり評判がよろしくない。報道やネットでも「いまさら」「おせっかい」「余計なお世話」といった反発の声が紹介されている。

注目すべきは「美しく」というポイントを打ち出している点だ。女性版では「涼やかな印象」を与える服や機能性素材の下着着用、「汗をかいても崩れにくい下地」のメイクなども推奨しており、「いったい誰目線での話なのか」という指摘もある。また、当初は洗濯用の香り付き柔軟剤や制汗剤の使用など「臭い対策」にまで言及していたが、市民団体から化学物質過敏症の患者への影響を指摘され、撤回することになったという。

このように散々な出発となった「女性版クールビズ」だが、国主導ということもあり、積極的に導入しようとする職場もあるはずだ。もし職場で、こういった女性版クールビズが半ば強制された場合、指示に従わなければならないのだろうか。三隅珠代弁護士に聞いた。

●「女性版クールビズ」ほど細かく強制すれば「違憲・違法」の可能性が高い

「服装は、原則として、個人の自由です。服装や髪型など個人の外見に関わることについては、自分自身で自由に選ぶことができます。

この権利は日本国憲法第13条の『自己決定権』で認められていると解釈されています。原則として他人が侵害することはできません」

――職場の制服は?

「ただし、職務の内容によっては、その必要性から髪型や服装が制限されることもありえます。典型的には『制服』です。しかしその場合も『自由を不当に制限する』と見なされるようなものはダメです」

――今回の女性版クールビズが、職場で強制されたら?

「一般的に考えて、クールビズをしているかどうかで、仕事の中身に差が付くとは考えにくいです。クールビズを強制すれば、服装や髪型の自由の侵害にあたる可能性が高いと思います。

とりわけ、今回環境省が推奨している『女性版クールビズ』は、髪型や服装、メイクなど、かなり細かいところにまで及んでいます。このように細かい点までを強制することは、違憲・違法の可能性が高いと思います」

当然TPOはあるだろうが、ここまで細かく強制するのは許されないだろうということだ。何が「美しい」のか、役人の考えにおつきあいする必要はどこにもないだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

環境省が推進する「スーパークールビズ」が6月から始まった。今年の特徴は「女性のクールビズ」を初めて提案したところだ。しかし、この「女性版」、あまり評判がよろしくない。報道やネットでも「いまさら」「おせっかい」「余計なお世話」といった反発の声が紹介されている。

注目すべきは「美しく」というポイントを打ち出している点だ。女性版では「涼やかな印象」を与える服や機能性素材の下着着用、「汗をかいても崩れにくい下地」のメイクなども推奨しており、「いったい誰目線での話なのか」という指摘もある。また、当初は洗濯用の香り付き柔軟剤や制汗剤の使用など「臭い対策」にまで言及していたが、市民団体から化学物質過敏症の患者への影響を指摘され、撤回することになったという。

このように散々な出発となった「女性版クールビズ」だが、国主導ということもあり、積極的に導入しようとする職場もあるはずだ。もし職場で、こういった女性版クールビズが半ば強制された場合、指示に従わなければならないのだろうか。三隅珠代弁護士に聞いた。

●「女性版クールビズ」ほど細かく強制すれば「違憲・違法」の可能性が高い

「服装は、原則として、個人の自由です。服装や髪型など個人の外見に関わることについては、自分自身で自由に選ぶことができます。

この権利は日本国憲法第13条の『自己決定権』で認められていると解釈されています。原則として他人が侵害することはできません」

――職場の制服は?

「ただし、職務の内容によっては、その必要性から髪型や服装が制限されることもありえます。典型的には『制服』です。しかしその場合も『自由を不当に制限する』と見なされるようなものはダメです」

――今回の女性版クールビズが、職場で強制されたら?

「一般的に考えて、クールビズをしているかどうかで、仕事の中身に差が付くとは考えにくいです。クールビズを強制すれば、服装や髪型の自由の侵害にあたる可能性が高いと思います。

とりわけ、今回環境省が推奨している『女性版クールビズ』は、髪型や服装、メイクなど、かなり細かいところにまで及んでいます。このように細かい点までを強制することは、違憲・違法の可能性が高いと思います」

当然TPOはあるだろうが、ここまで細かく強制するのは許されないだろうということだ。何が「美しい」のか、役人の考えにおつきあいする必要はどこにもないだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る